最高の家飯
俺の家飯での一番のご馳走、それは親友が時折差し入れてくれる丹波地鶏入りの湯豆腐である。
他の具材は一切入れないこのシンプルな湯豆腐、ちゅうか、地鶏鍋をたっぷりの大根おろしをぶち込んだポン酢で食べる。
これが至福の旨さなのだ。
昨今、食品の産地偽装がしばしば摘発されているが、この親友が持ってきてくれる丹波地鶏は産地偽装不可といえる程に個性がはっきりとしている。
身は引き締まっており、歯が強くなければ食べられない程の弾力だ。
その分噛めば噛む程に味わい深く、本来地鶏とはこういうものをいうのだろう、と改めて思わせてくれる。
そして、特筆すべきは皮だ。
普通、皮付きの鶏肉を煮れば皮はプルプルというかプニョプニョというか、とにかく決して好きになれない触感になる。
だがこの丹波地鶏は煮た皮まで固く、噛む度にコリコリと音がする。これがまた旨い。
たまにこの味が恋しくなってスーパーで地鶏を買ってみるが、いずれも全くの別物である。
親友のそれがあまりに美味しいので、玉ひもや砂ずりも一緒に入った500g相当入り1パックで俺は3,000円程度と見込んでいたのだが、長年値段を訊くのも野暮と敢えて質問しないでいた。
先日、居酒屋での話の流れでそれが1パックたったの1,000円であると知って驚いたものだ。
正確には丹波赤鶏というのだそうだ。
肉質は軍鶏や名古屋コーチンに匹敵するものの、値段だけが飛び抜けて安い。
本来なら自分で買いに行きたいのだが、電車では行けないような場所にある。
なにせ俺には免許があっても車がない。
そんな俺の心情を察してか、年に何度か持ってきてくれる訳である。
ありがたや。
福井県民御用達の焼き鳥秋吉にある純鶏もこの赤鶏と同じ類だ。
歯さえ丈夫なら噛む程に鶏肉の脂と旨みが口中に広がる。
昨今、肉と言えば口溶けの良さばかりが注目されているが、重視すべきは肉の旨みだろう。
丹波赤鶏は全国の鶏好きに食べてもらいたい逸品である。